カスタマーハラスメント防止条例

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愛知県カスタマーハラスメント防止条例

令和七年七月十一日条例第三十四号

本県は、基幹産業である自動車産業をはじめ、航空宇宙産業、ロボット産業等のモ ノづくり産業が集積するとともに、商業、サービス業等の様々な産業が盛んであり、 日本経済を牽引している。本県が日本の成長エンジンとして引き続き発展するために は、産業を支える原動力である全ての就業者が、やりがいを感じ、安心して生き生き と働くことができる環境を整備するとともに、事業者が円滑に事業活動を行うことが できる環境を整備する必要がある。

しかしながら、顧客等からの悪質な苦情、不当な要求といった迷惑行為であるカス タマーハラスメントは、全ての就業者の尊厳や人格を傷つけ、働く意欲を奪うととも に、カスタマーハラスメントを受けた就業者が心身に支障を来し離職を余儀なくされ るなど、様々な悪影響を及ぼしている。また、このことは、企業に雇用されている労 働者のみならず、個人で事業を営む者、営利を目的としない事業に係る業務に従事す る者、 ボランティア活動に従事する者、 公務員等の全ての就業者において同様である。

さらに、カスタマーハラスメントは、事業者に対しても、事業の生産性の低下、人 材の流出等の大きな損失を与え、その円滑な事業活動を阻害している。

全ての就業者が心身の健康を確保し、やりがいを感じながら安心して生き生きと働く ことができる環境及び事業者が円滑に事業活動を行うことができる環境を整備する ことは、社会全体の責務であり、そのためには、あらゆる場面において、国、県、市 町村、事業者、就業者及び顧客等が一体となり、社会全体でカスタマーハラスメント の防止に向けて取り組む必要がある。

一方で、顧客等からの苦情、要望等は、事業者の事業活動の改善につながることも あることから、カスタマーハラスメントの防止に当たっては、顧客等の正当な権利に 配慮することも重要である。

私たちは、このような認識を共有し、一体となって、カスタマーハラスメントのな い社会を実現するため、ここにこの条例を制定する。

(目的)

  • 第一条 この条例は、カスタマーハラスメントの防止について、基本理念を定め、並 びに県、事業者、就業者及び顧客等の責務を明らかにするとともに、県が実施する 施策の基本となる事項を定めること等により、社会全体でカスタマーハラスメント の防止を図り、もって県民生活の向上及び本県産業の持続的な発展に寄与すること を目的とする。

(定義)

  • 第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

  • 一 事業者 事業(営利を目的としないものを含む。以下同じ。 )を行う個人又は法 人その他の団体(国及び地方公共団体を含む。 )をいう。
  • 二 就業者 事業者の行う事業に係る業務に従事する者をいう。
  • 三 顧客等 顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の事業者の行う事業に関係 を有する者(前二号に掲げるものを除く。 )をいう。
  • 四 カスタマーハラスメント 顧客等からの就業者に対する言動であって、就業者 が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超 えたものであり、かつ、就業者の就業環境を害するものをいう。

(基本理念)

  • 第三条 カスタマーハラスメントの防止は、カスタマーハラスメントが就業者に苦痛 を与え、就業環境を害するものであるとともに、事業者に対しても事業の生産性の 低下、人材の流出等の大きな損失を与えるものであるとの認識の下に、社会全体で 取り組むことにより行われなければならない。
  • 2 カスタマーハラスメントの防止は、就業者と顧客等が対等な立場において互いを 尊重することが重要であるとの認識の下に行われなければならない。
  • 3 カスタマーハラスメントの防止は、就業者が業務に従事する際、同時に顧客等と しての立場になる場合には自らもカスタマーハラスメントの主体となり得るもの であるとの認識の下に行われなければならない。
  • 4 カスタマーハラスメントの防止は、顧客等の正当な権利が侵害されることのない よう、十分に配慮して行われなければならない。

(カスタマーハラスメントの禁止)

  • 第四条 何人も、カスタマーハラスメントを行ってはならない。

(県の責務)

  • 第五条 県は、第三条に定める基本理念(以下「基本理念」という。 )にのっとり、カ スタマーハラスメントの防止に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を 有する。
  • 2 県は、カスタマーハラスメントの防止に関する施策を実施するに当たっては、国 及び市町村と連携を図るものとする。

(事業者の責務)

  • 第六条 事業者は、基本理念にのっとり、何人もカスタマーハラスメントを行っては ならないこと及びカスタマーハラスメントに起因する問題に対する関心と理解を深めるとともに、県が実施するカスタマーハラスメントの防止に関する施策に協力 するよう努めなければならない。
  • 2 事業者は、カスタマーハラスメントにより、就業者の就業環境が害されることの ないよう、基本理念にのっとり、必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるよ う努めなければならない。
  • 3 事業者は、カスタマーハラスメントが行われたと認めたときは、基本理念にのっ とり、カスタマーハラスメントを行った顧客等に当該カスタマーハラスメントの中 止の求めその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
  • 4 事業者は、基本理念にのっとり、自らの行う事業に係る就業者が業務に従事する 際カスタマーハラスメントを行うことのないよう、何人もカスタマーハラスメント を行ってはならないこと及びカスタマーハラスメントに起因する問題に対する関 心と理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
  • 5 カスタマーハラスメントの防止に関して、他の事業者から協力を求められた事業 者は、基本理念にのっとり、その協力のために必要な措置を講ずるよう努めなけれ ばならない。

(就業者の責務)

  • 第七条 就業者は、基本理念にのっとり、何人もカスタマーハラスメントを行っては ならないこと及びカスタマーハラスメントに起因する問題に対する関心と理解を 深め、顧客等に適切な対応を行うとともに、事業者が実施するカスタマーハラスメ ントの防止に関する取組に協力するよう努めなければならない。
  • 2 就業者は、基本理念にのっとり、業務に従事するに当たり、他の事業者と取引を 行う場合その他の自らが他の事業者の顧客等の立場になる場合には、自らの言動に 必要な注意を払うよう努めなければならない。

(顧客等の責務)

  • 第八条 顧客等は、基本理念にのっとり、何人もカスタマーハラスメントを行っては ならないこと及びカスタマーハラスメントに起因する問題に対する関心と理解を 深めるよう努めなければならない。
  • 2 顧客等は、基本理念にのっとり、就業者に対する言動に必要な注意を払うよう努 めなければならない。

(指針の策定等)

  • 第九条 知事は、社会全体でカスタマーハラスメントの防止に取り組むために必要な 事項に関する指針を定めるものとする。
  • 2 知事は、前項に規定する指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公 表するものとする。

(相談及び助言)

  • 第十条 県は、カスタマーハラスメントの防止に関し、相談への対応及び必要な助言 を行うものとする。

(情報の収集及び提供)

  • 第十一条 県は、事業者によるカスタマーハラスメントの防止に関する取組を支援す るため、必要な情報の収集及び提供を行うものとする。

(広報及び啓発)

  • 第十二条 県は、何人もカスタマーハラスメントを行ってはならないこと及びカスタ マーハラスメントに起因する問題に対する事業者、就業者及び顧客等の関心と理解 を深めるとともに、カスタマーハラスメントの防止に資するため、広報及び啓発を 行うものとする。

(財政上の措置)

  • 第十三条 県は、カスタマーハラスメントの防止に関する施策を推進するため、必要 な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則

  • 1 この条例は、令和七年十月一日から施行する。
  • 2 知事は、この条例の施行の状況及びカスタマーハラスメントの防止に関する法令 の整備の状況を勘案し、この条例の規定について検討を加え、必要があると認める ときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。